外貨準備(外貨準備高)
外貨準備とは金融当局が自国以外の通貨を持つことを言います。
例えば、日本の場合、国の銀行である日本銀行が円以外の通貨である、ドル・ユーロなどの外国の通貨を蓄えておくことを外貨準備と言います。また、蓄えている金額のことを外貨準備高と言います。
それでは、なぜ国の金融当局である日本銀行は外貨準備などをするのでしょうか?
世界には数多くの通貨があり(50以上あると言われています)、それぞれの通貨の交換レートは常に変動しています。
ある時は 1ドル=100円 だったのが、ある時は 1ドル=90円に変化しているのを考えると理解しやすいですね。このような通貨の価値どうしの交換比率の変化を為替相場と言います。
為替相場は常に変動しています。
そして、何か社会的な混乱があったとき(戦争など)、経済の危機が起きた時には急激に為替が変動することがあります。
このような時に力を発揮するのが外貨準備なのです。
例えば、日本国内において、1ドル=100円で動いていた為替が、急激に1ドル=50円まで変化したとしましょう。
ある業者がアメリカに自動車を輸出販売していたとします。この場合、アメリカの業者からの代金の支払は(アメリカの業者⇒日本の業者)ということになるので、当然、円での支払となります。
しかし、この自動車を輸入している業者はアメリカの業者なので、ドルでしかお金を持ち合わせていません。そのため、ドルを円に変更し、自動車の代金を支払うことになります。
日本の業者が自動車1台あたり100万円でアメリカの業者に販売していたとすると、、為替相場の変化がそのままアメリカの業者の支払に影響します。
今回の場合、1ドル=100円から1ドル=50円まで、急に為替相場が変化しました。
そうすると、100万円 ÷ 100円 = 1万ドル で1台購入できていたのが、
100万円 ÷ 50円 = 2万ドル と、アメリカの業者は1台購入するのに倍の費用が掛かることになってしまいます。
こうすると、海外でサッパリ物が売れなくなってしまいます。
物が売れなくなれば日本の経済が成り立たなくなってしまうのは想像に難くありません。
つまり、生活が急に景気が悪くなってしまうということです。
日本は輸出によって利益をあげている国なので、このように急激に円高が進むと経済が成り立たなくなってしまいます。
このような事態にならないために、国は外貨準備をしています。
今回の場合は、ドルを買い込むことでドルの価値を上げ(円の価値を下げ)経済の調整を図るのです。
日本国の場合アメリカに対しては、ドルに対して「円高が急激に進んだ場合はドルを買い」、「ドル高が急激に進んだ場合はドルを売る」という行為によって円の価値が適正に保たれるように気をつけているわけです。
どの通貨に対して、どのくらいの外貨準備高が適正なのかということについては誰にも分かりません。しかし、一般的には
外貨準備保有高 ÷ 輸入額 > 輸入の3か月分
外貨準備保有高 ÷ 短期債務残高 ≒ 1年分
というのが基準とされています。
普段生活しているだけだと、日本国や日本銀行がどのような仕事をしているか分かりませんが、国民の生活を守るような仕事もしているということですね。